このような悩みにお答えします.
この記事では,有名心理学者ロバート・B・チャルディーニが執筆した『影響力の武器』を誰でも完璧に理解できるように要約しています。
心理学に興味がある人や,人間の心に深く根付いている心理をうまく利用して,営業や販売に活かしたい!という方にとっては必読書です.
たとえば『影響力の武器』にはこんな日常での疑問の答えが書かれています.
- テレビの車のCMで超絶美人の女優さんが出演しているのはなぜか?
- バレンタインデーでチョコをもらったらホワイトデーでお返ししなければならない,と思うのはなぜか?
- お笑い番組で,面白くもないギャグに「笑いの音声」が再生されているのはなぜか?
- ニュースで自殺の報道があった次の日に,自殺者が増えるのはなぜか?
- 強盗にチーズとワインを与えたら釈放してくれるのはなぜか?
人間の行動というものは「自分で決定して動いているんだ!」と思っている人が多いと思いますが,実は心理学をうまく利用して,他者があなたの行動を操っている可能性があります.
こうした心理学に操られないためにも,そしてあなたが利用して人を操れるようになるためにも『影響力の武器』で紹介されている6つの影響力をマスターして,日常生活でとことん活かせるようにしましょう.
<6つの影響力>
- 返報性
- コメットメントと一貫性
- 社会的証明
- 好意
- 権威
- 希少性
これら6つの影響力は人を操る武器にもなりますが,あなたを守る盾にもなるはずです.
(ちなみに、影響力の武器(第三版)が最新になります)
それでは早速,要約・書評の方にうつりますね.
もくじ
【要約・書評】人を簡単に操れる『影響力の武器』
影響力の武器を細部にわたって細かく説明しています。
要約は読まなくていい!という人は『影響力の武器の感想・書評・レビュー』まで読み飛ばしてくださいね。
1. 人間は考えて行動していなかった?
現代では情報過多の時代と呼ばれていて,自分がどの行動を起こすのか?については「実は,考えずに行動・思考している可能性がある」と主張されています.
たとえばこんなシーン.
- 価格が高いものは良質な商品である→価格だけで商品の価値を判断してしまっている
- 専門家言っていることは正しい→その分野の専門家であれば絶対に正しいと思い込んでいる.
- 「半額」は安い→元の値段設定が高いにも関わらず「半額」という文字を見ただけで,それが安いと誤解してしまっている.
- Amazonの商品購入画面で「在庫は残りわずか、購入はお早めに」と表示されている⇒早く買わないと他の人にとられてしまう。
著者この現象を「思考の近道」と呼んでいます.
忙しい現代を生き抜くためには,こうした思考の近道を利用することで,無駄なエネルギーを節約し,自分が本当にやりたいことに対して注意を向けるための自然な思考パターンだと言います.
このように自動的に反応してしまう思考を利用した「悪どいやつら」が世の中にはいます.その悪どいやつらが使っているのがこれから紹介する6つの影響力の武器.
6つの影響力の武器をあなたが身につけることによって,どんな極悪非道な魔王もやっつけて追い返すことができることでしょう.武器を持たなければ,ただやられるのを待つだけです.どちら側になるのかはあなた次第です.
2. 6つの影響力の武器
①返報性
返報性とは、一言でいうとギブ&テイクの精神のことです。
人間という生き物は、他者から何かしらの恩恵を受けたときには、その恩恵に対して何かお返しをしなければならない。といった感情を無意識に感じてしまいます。
返報性の原理を利用したテクニックは次のようなものがあります。
スーパーの食品売り場でソーセージの試食ができる⇒「ソーセージを食べさせてもらった」という恩恵でそのソーセージを買わざる負えない心理状況になる。
この戦略はマーケティングにおいて、あなたも体験したことがあるのではないでしょうか?
返報性の原理がはたらいてしまう原因は「他人の目を気にする」という人間の心に根付いているものです。
『ソーセージをタダでもらったのに、このままここを素通りするなんてことはできない。そんなことがあれば、人は「あの人は恩義知らずの無礼者だ」なんてレッテルを貼られるに違いない!』
と他者から自己の評価を落としまいがために、この返報性の原理が嫌でも働いてしまうというわけですね。
返報性の原理を利用してみよう
返報性の原理は「モノ」にだけ働くのではなく「譲歩」にもはたらくということが分かっています。
「譲歩」とは、その字のごとく「譲ってあげる」という意味です。
たとえば、あなたが友人から2万円貸してほしいと本心で思っていたとしましょう。
そんなときは『ちょっと今お金に困ってるから4万円くらい貸してくれないかな?』と友達に尋ねてください。すると友達は当然高額すぎて断ることでしょう。
そこであなたは譲歩します。『あ!じゃあ2万円でいいから!お願い!まじで生活に困ってるんだよ。。』
これで4万円⇒2万円と要求金額が半分になったわけです。
さらに、あなたが譲歩したことによって相手も同じように譲歩しなければならない!と返報性の原理がはたらきます。
友人があなたにお金を貸してくれる確率が飛躍的に上がることでしょう。このテクニックを「拒否されたら譲歩法(ドアインザフェイステクニック)」と言います。
驚いたことに、返報性の原理を利用しても人間関係が崩れることはない!という事実も分かっているそうですよ。
②コミットメントと一貫性
コミットメントと一貫性のとは、一度コミット(自らの意思で決定する)だけで、それを最後まで正当化して自分の行動を決めることです。
このコミットメントと一貫性の原理を利用するには以下の4つをおさえておく必要があります。
- 行動を含むこと
- 公表されること(パブリックコミットメント)
- 努力を必要とすること
- 自分の意思で選ぶこと
車のディーラーが良い例でしょう。
車のディーラーはまず、お客さんにとって有利な条件しか提供しません。
車の値段を一般の相場より安く見積もったり、車の内装やタイヤのホイール交換も無料で行うといったように、お客さんが特にしかならない提案をするんですね。
するとお客さんの脳内では『よし、このお店でこの車を絶対に買うぞ!』と自らの意思で決定(コミット)してしまいます。
どんどん話が進むにつれて、最後には契約書に名前や住所を記入し、いざサインをしようとするところで車のディーラーはこう切り出します。
『お客様すみません、先ほど上の者が車の値段設定を戻してほしいとの連絡がありまして、私が提示していた値段が適応できなくってしまいました。』
お客さんはこれを聞いてどうするでしょうか?「契約をとりやめる?」「もっと相場より安いところ探す?」
否、そんなことはしないでしょう。
なぜならコミットメントと一貫性の原理が働いてしまっているからです。自分が車を買おう!と決めたものに対しては頭の中で無意識に正当化がはじまってしまいます。
『もう契約書まで書いてるから車を買ってしまおう』『もとの相場の値段に戻っただけだから仕方ないか』『この人も親切に対応してくれたから買ってあげよう(返報性)』
勝手に脳内で自分がコミットしたことを正当化しはじめます。このような車のディーラーが使ったテクニックを「承諾先取り法(ローボールテクニック)」言います。
相手にとって有利な条件を提示して、相手を喜んで意思決定をさせて、その後にもともとあった有利な条件を引き抜いていくというテクニックです。
これも「他人の目」が原因になります。
一貫性がないと、優柔不断、気まぐれ、軟弱、軽はずみで不安定な人だと思われてしまうの嫌なんですね。だからこれらの影響力が働いてしまうわけです。
コミットメントと一貫性を利用してみよう
商売だけでなく、あなたの目標達成にもコミットメントと一貫性の原理を応用することができます。
たとえばあなたが夏まで10キロ痩せる!とダイエットを目標にしていたとしましょう。
そんなときは、その目標を紙に書き出し、家族が見えるとこに貼ったり、友人に宣言しておいたり、TwitterやFacebookなどのSNSで公開してみましょう。
これはパブリックコミットメントを応用した方法で、自分で決めたものに対して公(パブリック)に晒すことで目標達成率を上げる方法です。
③社会的証明
社会的証明とは、とある行動を遂行する人が多ければ多いほど、それが正しい行動だと判断してしまうことです。
この影響力の強さを高めてしまう要因に「不確かな情報・環境」があります。
自分自身のなじみのない環境に置かれてしまった場合、そこのルールに確信が持てない場合は、他者の行動を正しいものだとして受け入れようとする心理が働くのです。
この「社会的証明」の影響力が顕著に表れたのは「石油危機(オイルショック)で、紙がなくなるからトイレットペーパーを買い占めた」という騒動ではないでしょうか。
政府から紙資源の節約が呼びかけから「紙ががなくなる」というデマが流れ、その不確かな情報に不安を覚えた人は、周りの「トイレットペーパーを買い占める姿」をみてから「自分も買い占めなければ!」という社会的証明の影響にまんまとハマっていたんですね。
実際は、紙などなくなるわけがなく。トイレットペーパーを大量に購入した人は損をしたわけです。
社会的証明を利用してみよう
社会的証明を利用するというより、その現象があるということを知って、お金を搾取されてないように注意を払いましょう。
たとえば、スーパーで特売セールが行われていて、その周りにお客さんが殺到していたときのことを考えてください。
『周りのお客さんがこんなにも並んでセール商品を購入しているのだから、私も流れにのって買わなければ!』という心理になってしまう可能性があります。
もし、この流れにのって欲しくもないセール商品を買ってしまったら、それはお金を無駄にしたということになります。
④好意
好意の影響力とは、自分が好意を抱いている人からの頼み事は受け入れる傾向になるという心理状況のことです。
この好意の影響力を最もうまく利用した人として、「世界で最も偉大な自動車セールスマン」ジョージ・ラードが挙げられます。
彼は好意の影響力をうまく利用することで、1日5台以上の車を売ることに成功しています。
ジョージ・ラートはまず、ルックスがかなり魅力的であり、人に共感するという能力にものすごく長けていました。客はジョージと話をしているうちに、すっかりと好意を抱いてしまったことで、その好意から車を購入してしまったということです。(返報性の原理も働いています。)
人に好意を抱かせるには以下の方法があります。
- 外見的魅力がある。(例:顔立ちが良い。身長が高い。服装のセンスある。肌がきれい等)
- 類似性が高い(例:趣味が似ている。外見が似ている。経歴が似ている。性格が似ている等)
- 褒め上手。お世辞がうまい。
- 共感能力が高い。
- 誠実性が高い。
好意を抱いてしまった相手からの頼みは断りずらいのは、みなさんも経験があるのではないでしょうか?
無意識に人に好意を抱いてしまっている場合は、上に挙げた5つが上手く利用されている可能性があるんですね。
⑤権威
権威の影響力とは、全く理屈に合わない場合でも盲目的に権威者の意見に賛同してしまうことです。
ただ、白衣を身にまとっているだけでも、如何にも理路整然としていて正しいそうな雰囲気を醸し出すことができます。
実は、とある研究によると「医者」という肩書きもっているだけで95%の看護師はその「医者」の意見に対して盲目的に従うことがわかっているんです。
このように、専門家や権威者の意見に何も考えずに従ってしまうと悲惨な事故につながる可能性も考えられます。
権威の影響力を利用してみよう
相手に権威の影響力をみせつけるためには以下の3つをおさえるだけでOK
- 肩書き
- 装飾品
- 服装
相手を服従したり、命令したりするときは上の3つを権威として見せつけるだけで服従率が格段に跳ね上がることが分かっているんですね。
女性を口説きたいときや、友人を説得したいときには「服装や装飾品」を多めに身にまとっていると、ある程度効果が期待できるかも?
⑥希少性
希少性の影響力とは、手に入りにくくなればなるほど、その商品が貴重なものに感じてしまうことです。
たとえば、マーケットではこんな売り文句が頻繁に使われていますよね。
- 「数量限定」「最終期限」「タイムセール」
- 「独占、特別、公開、終了、間近」
希少性の売り文句としては、これらの宣伝はとても効果的です。
希少性の影響力を利用してみよう
希少性の原理は「競争」と組み合わせると大きな効果を発揮します。
『在庫は残りわずか、注文はお早めに。』
Amazonで商品購入のときに一度はみたことがある人はいるのでは?
これは希少性の原理と競争を組み合わせた、購買意欲を高まらせる戦略的な売り文句です。
在庫が残り僅かだからといって、すぐに商品がなくなるわけではないので安心を。(在庫がなくなれば、また足せばいいだけなので)
3. 『影響力の武器』の感想・書評・レビュー
心理学を徹底的に学びたいなら、まずはこの本を読め!
ですね。
人の行動原理や心理学を学びたい!という好奇心旺盛な方なら大満足する一冊ではないでしょうか?
具体的な分かりやすい例を出しながら、影響力の武器について解説してくれているので、割と読みやすかったのが印象です。(ビジネス書のよりは幾分「専門書」感は出ていますが)
特に、マーケティングや営業を本業としている方ならば、必読書といっても過言ではないでしょうか。相手の心理の主導権を握りながら交渉することが簡単になるのは間違いありません。
なぜ?人は動かされるのか?がよく分かる本、これ以上詳しく書かれている本は他にないと思いますね。
メンタリストDaiGoさんもおっしゃっていましたが『値段の10倍以上の価値』があると思っています。買って損はしないでしょう。
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